パーセントインピーダンス(%Z)の定義
○ パーセントインピーダンス(%Z)とは何か、%Zは定格電流をIn(A),を流した時に、定格相電圧E(V)に対するインピーダンスZ(Ω)による電圧降下InZ(V)の割合(比率)を表わすもので、次式で定義されています。
三相3線式交流回路では、相電圧E(V)と線間電圧V(V)との関係はV=√3Eであるので、①式は、次の様に書き換えられます。
注: ①式以降⑤式までは①式の展開です。しかし、①式の定義と⑤式の短絡電流Isの式などは式そのものの意味が理解できていなければ行き止ってしまうので、数式の内容の理解に努めていただければと思います。
パーセントインピーダンス(%Z)は何のために使うのか
その理由はいろいろな計算の便法のためである。即ち、計算上都合が良いからです。過去の電力の電験三種問題の中から例題を拾ってみましょう。
平成14年ーB-12(電験三種 電力)
解答とコメント:
(a) 変圧器の損失を無視すると、二次側の平衡三相負荷P2=120(kW)、は
一次側にもそのままかかり、一次側の入力P1=120(kW)です。故に、1次側の線間電圧はV1=6.3(kV)であるので、一次側の電流I1(A)は抵抗負荷であるので力率cosθ=1であるので、
(b) 短絡点に流れる短絡電流をIs(kA)とすると、前述の⑤式を覚えていると
即ち、⑥式の形で覚えていてもよいです。
※このように、%Zは事故計算(短絡電流の計算)に便利です。
平成17年ーB-16(電験三種 電力)
解答とコメント:
(a) 図の様にA、B2台の変圧器で、12(MVA)を分担する場合、Aの分担をPa(MVA)、Bの分担をPb(MVA)とします。
今、%ZbをAと同じ基準量15(MVA)に換算すると、容量比 が15/8であるので、
%Zも15/8になり、Bの15(MVA)換算の%Zb’は
%Zb’=4x15/8=7.5(%)となります。
故に、12(MVA)の負荷を加えたとき、A変圧器の分担する負荷Pa(MVA)は
(b) 上記(a)の結果より、変圧器Aの負担の割合は7.2/15=0.48(48%),Bの負担は
4.8/8 =0.6(60%)であるので、Bの方が負担の割合が大きい。従って、求める最大負荷容(Pmax)はB変圧器サイドで決まり、次式で求まります。
注: 上記の問題でも分かるように、%Zは変圧器の負荷分担の計算で大切な
パラメータとなります。変圧器の並列運転の条件については、電験では機械の変圧器でも出題が多いので学習が大切です。
あとがき
以上%Zについて、電験の出題の中から用法を説明したが、納得出来ましたでしょうか?%Zは実務的にも大変重要の項目であり、特に変圧器や電路の故障電流の計算、遮断器の遮断容量の計算など応用範囲が広いので、確りと自分のものにしておく必要があります。
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